環境保全活動
地球環境保全のために、吉野家ではフードロスの削減やコストダウンを伴う環境負荷軽減施策を継続的に実施しています。今後も引き続き、気候変動対応に関する認識をアップデートし続け、環境に配慮した飲食店のあり方や企業としての取り組みを追求してまいります。
プラスチックの環境負荷の低減
2020年7月から全国の吉野家店舗で使用しているテイクアウト用レジ袋3種類全てにおいて、植物由来原料を25%配合したバイオマスプラスチックへと切り替え、約2年半で石油由来プラスチック使用量を年間約30トン、累計で約75トン削減しました。2023年2月からはテイクアウト用レジ袋3種類あるレジ袋のうち1種類の一部の原料を、国産米(非食用)をアップサイクルしたバイオマスプラスチック「ライスレジン®」へ切り替えました。「ライスレジン®」を使用したレジ袋のバイオマス率は25%と、植物由来原料の配合量と同様です。再生可能なバイオマス資源を原料とするバイオマスプラスチックは、焼却処分した場合も大気中の二酸化炭素濃度を上昇させない特長があります。吉野家はレジ袋全てに穀物や植物由来原料を使用することで、今後も継続して石油由来プラスチック使用量を削減し、環境負荷の低減に務めてまいります。
※2023年8月以降、全国の吉野家店舗の牛丼用テイクアウト容器に使用するインク素材をバイオマスインキへ変更しました。
【吉野家の特定プラスチック削減目標】
吉野家は2030年度末までに石油由来特定プラスチック製品使用量原単位を半減する予定です。
基準年2020年度:原単位48.29㎏/億円
目標年2030年度:原単位24.15㎏/億円
実績:
・2020年度 48.3(㎏/億円)
・2021年度 32.5(㎏/億円)
・2022年度 26.8(㎏/億円)
※削減目標(2030年度末実績)に対し、26.8㎏/億円と順調に推移
東京工場における環境負荷低減の取り組み
【フードリサイクル・フードロス】
2004年から東京工場が排出したキャベツの外葉を埼玉県の東武動物公園に提供し、動物の餌へリサイクルしています。さらに、フードロス対応として、工場内食肉加工センターで発生する切り落としをハンバーグ原料用に他社へ販売しています。東京工場は廃棄ゼロを目指して再生利用実施率をさらに高める方法を、引き続き検討していきます。
【再生可能エネルギーの活用】
製造棟の屋上へ2023年9月から太陽光発電設備を設置しました。太陽光により発生する電力は全て東京工場で消費、循環しています。太陽光発電設備を設置したことで、CO2排出量は年間195t削減し、製造棟屋根裏の温度※は約10℃、室内側天井付近の温度は約3℃低減する見込みです。※6~9月の間、5時間/日の日照時間の場合
【玉ねぎの端材を乾燥パウダーに】
東京工場では𠮷野家で使用する玉ねぎの規格外箇所(芯の部分)を取り除く加工を行っています。1日約10tの玉ねぎを加工しており、規格外となった玉ねぎ端材は全重量の約5%分発生します。この玉ねぎ端材を乾燥処理し、食用パウダーとして利用するアップサイクルの取り組みを2023年2月より開始しました。
ASTRA FOOD PLAN株式会社が開発した過熱蒸煎機は、食材の風味の劣化と酸化を抑え、栄養価を残しながら瞬時に殺菌・乾燥し、粉末化します。現在、東京工場から玉ねぎ端材を200kg単位で同社に冷蔵発送し、同社で粉末化したものをパン製造業者に供給しています。2024年2月以降は東京工場に『過熱蒸煎機』を導入し、東京工場で玉ねぎの芯を取り除く加工から粉末化までを行い、規格外の食材の有効活用を促進します。
吉野家店舗における環境負荷低減の取り組み
【フードリサイクル】
吉野家店舗での食品リサイクルも積極的に行っています。発生した食品残さ(食べ残しおよび厨房調理くず)は店舗ごとに飼料化・肥料化することを推奨するほか、牛丼の調理過程で発生する牛脂は1976年から油脂化・油脂製品化による100%リサイクルを全店(離島を除く)で実施しています。2022年度は、全国約1,200店舗から収集した牛脂を年間で合計4,239t、282,615本の油缶として出荷しました。
【PETリサイクル実験】
店舗では、たれや醤油をはじめとする調味料の使用済み容器やドリンク販売の空きボトルなど、PET樹脂が廃棄物として発生します。これを自主回収し、ごみ処理費用の抑制につなげるべく、自社配送センターを置く関西地区でリサイクル化の取り組みを実験的に行っています。2022年7月の実験開始当初は、𠮷野家とはなまるの約20店舗を対象に2ルートでの回収を行い、配送センターで保管した後、リサイクル業者が処理する形で運用しました。2022年10月に運用サイクルを検証し、現在は4ルートに拡大しました。自社配送センターがない地域では、回収作業と保管場所の確保において外部業者との連携が必要になるなど、PETリサイクルを拡大するための課題もありますが、将来的には全国店舗での実施を視野に入れています。
【卵の殻を使用したバイオマス食器】
吉野家の店舗では、さまざまなメニューで鶏卵を調理に使用し、日々多くの卵の殻を廃棄しています。これに着目した従業員の発案により、卵の殻のバイオマス食器への利用を進めています。卵の殻の主成分である炭酸カルシウムを燃やすとCO2が排出されますが、素材として卵の殻を55%含有するこの食器は、CO2を閉じ込めたまま凝固させており、廃棄物削減と同時に地球温暖化の抑止にも貢献します。今後、店舗からの回収方法などを検討し、バイオマス食器として店舗で使用するまでの流れを具体化していきます。
環境保全活動の歴史
年次 | 活動 |
---|---|
1970年代 | 店舗牛脂のリサイクルを開始 |
1992年 | 一部店舗にて、ガスヒーポンの検証開始 |
1993年 | 店舗の割箸をアスペン材に変更(現在はリターナル箸) |
1995年 | コンピュータのストックフォーム紙をリサイクル 封筒・名刺の再生紙化 東京工場のダンボールをリサイクル 野菜加工センターの野菜くずをコンポスト化 |
1997年 | 店舗のトイレットペーパーを再生紙に変更 店舗のペーパータオルを再生紙化 |
1998年 | 事務所の封筒に間伐材を使用 店舗にて節水バルブ導入 店舗の紙ナプキンを非木材紙化(ケナフ) 店舗の駐車場に分別ゴミ箱導入 本社にリサイクルボックスを設置 |
1999年 | 埼玉県の店舗で生ごみ処理機によるリサイクル運用開始 店舗に節水型ロータンク導入 店舗エアコンの消費電力を大幅に削減 店舗の照明と看板をエコ仕様に変更 店舗の看板にソーラータイマー導入 中国における植林ボランティアの開始 |
2000年 | 代替フロン機器の導入開始 横浜市の店舗で生ごみのコンポスト化開始 |
2001年 | 店舗の節水型洗浄機の検証開始 店舗の節電機器の検証開始 店舗の液体洗剤を無リン化洗剤に切り替え 社有車にハイブリッドカー導入開始 |
2002年 | (株)日本フードサービス協会とと協業で茨城県店舗の生ゴミコンポスト化開始 都内店舗にてガスコージェネレーション検証開始 外食企業と協同で割箸のリサイクル開始 ユニットプレハブ工法の店舗を導入、建築廃材の減量を図る 京都市まちの美化推進事業団に参加 |
2003年 | 事務社員の制服をPET素材使用品に変更 店舗において節水型洗浄機と環境低減仕様のショーケース、PET素材のトレイ導入開始 店舗の排水ネットを導入開始し、生ゴミの脱水減量化を開始 NPO日中環境保全友好植林実践会の協定締結 |
2004年 | 東京工場野菜加工センターにて野菜外葉を動物園の飼料として提供開始 店舗の照明をより省電力が高い蛍光灯へ切り替え 外食企業と協業にて千葉地区・横浜地区 外食企業との協業にて千葉地区と横浜地区店舗のコンポスト化拡大 埼玉県にオール電化店舗オープン |
2005年 | 首都圏において新たに3箇所のプラントを利用したコンポスト化拡大 八都県市容器包装ダイエット宣言に参加 NPO国連世界食糧計画WFP協会に参加 災害時徒歩帰宅困難者支援活動開始 |
2006年 | 京都地区店舗におけるバイオマス利用のリサイクル開始 三重地区店舗で生ゴミコンポスト化開始 チームマイナス6%に参加 |
2007年 | リターナブル箸の検証開始 ABS素材食器の導入 LED看板やメニューコルトンの省エネ化の検証実施 強化磁器食器と循環型食器洗浄機・洗剤の検証を実施 |
2008年 | 地球温暖化防止活動環境大臣賞受賞 LED看板の導入開始 ペットボトルのエコキャップ収集活動開始 |
2009年 | リターナブル箸を全店に導入 全店舗を終日禁煙化 オール電化店舗の検証開始(1店舗) |
2010年 | 次世代型店舗への取組み開始 オール電化店舗の検証拡大(3店舗) 客席照明をLEDダウンライトと高効率照明へ変更 |
2011年 | 産業廃棄物の電子マニフェスト検証 テイクアウト包材の軽量化推進 |
2012年 | ポール看板・店頭看板にLED採用 テイクアウト用レジ袋の規格変更(薄肉化) |
2014年 | 東京工場に野菜の端材を分解し、水として排出「野菜端材処理機」を導入 |
2015年 | アルカリイオン水導入(洗剤代替品)実験開始 |
2016年 | テイクアウト用味噌汁カップを発泡プラスチック製から紙製へ変更 東京工場、埼玉県地球温暖化対策条例により、エネルギー管理指定工場へ (CO2排出量規制対象) |
2017年 | エコマーク認証取得(外食産業初) |
2018年 | 東京都食品ロス削減キャンペーンへの参加 |
2019年 | 店内のメニューブックを石灰由来素材(LIMEX)へ変更 テイクアウト容器の一部を紙製に変更 |
2021年 | テイクアウト容器の容量見直しによるプラスチック原料削減 店舗の洗剤容器を硬質プラスチックから詰め替えパックへ変更 |
2023年 | テイクアウト用レジ袋の一部原料にライスレジンを採用 ASTRA FOOD PLANと共に東京工場で発生する規格外の玉ねぎ端材をアップサイクルする実証実験を開始 牛丼用テイクアウト容器に使用するインク素材をバイオマスインキへ変更 東京工場製造棟屋上へ太陽光発電を設置し、再生可能エネルギーを活用 |